2015年3月アーカイブ

過去の実例もあって、とても実現するとは思えない自給率の向上を生産者はにわかに信じられないと醒めた目で見つめている。

またしても裏切られるのでは、と疑っている。

そんな目標を信じる方がバカを見ると距離を置いている。

そこまで生産者が疑うのは、いくつもの要因がある。

その典型的な政策事例がコメの消費拡大策である。

コメの消費拡大という個別政策のところでも触れたが、農水省は熱心に消費拡大の啓発を行い、学校給食に米飯食を奨励している。

また、新聞、テレビを使ってPR活動を展開している。

目標を達成するためには、今後は歯止めをかけるだけでなく、増やす対策まで必要になってきた。

ただし、対策を講じないで、事態を放置していた場合の趨勢予想値だと四一〇万ヘクタールよりはまだましな水準であり、対策の効果がないわけではない。

現実は対策のおかげもあって、趨勢の減少傾向にブレーキをかけてはいるが、目標を達成できていない。

そして2010年度の目標達成は絶望的になりつつあるといった現状である。

この実態を踏まえて、優良農地の確保政策をどうするかである。

改めて国民レベルでの議論が必要なのではないかと思う。

残留農薬検査
1998年度の優良農地面積は四一九万ヘクタールだったが、農水省では、このまま対策を講じないで、減少傾向を放置すれば、2010年度には三六九万ヘクタールまで減少すると予測している。

農地は一度荒廃すると、再び農地に戻すのに多くの労力と経費がかかる。

何としても農地の荒廃を阻止し、極力、優良農地を確保したいと考える農水省は、数々の対策を講じて減少に歯止めをかける方針だ。

そこで農水省は2010年度の優良農地面積を四一七万ヘクタール維持するとの目標を掲げ、2001年度の優良農地面積の目標として四一八万ヘクタールという数字を設定していた。

さて、結果はどうだったか。

四一六万ヘクタールである。

早くも九年も先の2010年度の目標値を下回った。