2013年10月アーカイブ

安全性に対する考え方もずいぶんと違いがあります。

アメリカでは、発ガン性の食品添加物は使用が認められていません。

連邦食品医薬品化粧品法にディラニー条項があり、発ガン性の食品添加物の使用禁止が定められています。

日本には、このような明確な法律条文はありません。

「人の健康を損なうおそれのあるもの」は添加物として使えないことは定められていますが、きわめてあいまいな条文です。

1970年代から80年代にかけて、かんきつ類の輸入が自由化された際に、アメリカの要求で食品添加物として認可されたいきさつがあります。

甘味料のアスパルテーム、着色料である赤色40号は、アメリカからの要求で83年と91年に、食品添加物に指定されています。

逆に、日本で使われている赤色2号や102号は、アメリカでは、使用禁止となっています。

いずれも、発ガン性が認められています。

天然系の添加物であるクチナシ色素も、欧米では使われていません。

また、アスパルテームや安息香酸は、コカコーラ・ライトの輸入にともなって、炭酸飲料などへの使用が認められました。

80年代には、アメリカは当初、128品種の添加物を日本が認めるように要求し、=品目の添加物が一一挙に認められています(83年)。

日本でも使われている添加物で、違反が多いものには、亜硫酸、ソルビン酸、安息香酸があります。

使用できる対象食品や使用量など、使用基準が異なっているためです。

輸入レモンやグレープフルーツの防カビ剤として使われている、DP(ジフェニール)やOPP(オルトフェニルフェノール)、TBZ(チアベンダゾール)、イマザリルなどは、もともと日本では使われていませんでした。

国内では、長距離を輸送することもなく、使う必要もなかったといえます。

たとえば、輸入食品で違反が多い添加物には、ポリソルベート、TBHQ、ステアリン酸金属塩、リン酸アルミニウム、リン酸ナトリウムなどがあります。

いずれも、日本での使用が認められていない添加物です。

ポリソルベートは欧米では乳化剤としてドレッシング、ソース、クリームなどに使われています。

カップめんのスープ、調味料からも検出されます。

ミスタードーナツの中国製肉まんに使われて問題となったTBHQは、酸化防止剤として使われています。

食品添加物の種類や安全基準は国によって違うのですか。

食品添加物の種類や使用できる食品や量などの使用基準は、国によってかなり異なっています。

近年は、世界貿易機関(WTO)の協定による、規格基準の国際的な整合化(ハーモニゼーション)が進み、際立った違いは少なくなってきました。

とはいえ、食習慣、安全性に対する考え方の違いもあり、まだまだお国柄が残っています。

WHO合同食品添加物専門家委員会(JECFA)が認めている添加物は約900品目です。

そのうち約600品目は日本では認められていません。

世界保健機関(WHO)の保健大憲章には「到達できる最高水準の健康を享有することは、人種・宗教・政治的信念・経済的または社会的条件の差別なしに万人の有する基本的人権のひとつである。

すべての人々の健康は、平和と安全を達成する基礎であり、それは個人と国家との完全な協力に依存する」と記載されています。

一国清潔主義だけでは通用しない時代なのです。

BSEにしてもまた薬剤耐性菌出現の問題にしても、人のあり方、農業のあり方、そしてあなた自身のあり方について自然が人類に再考を迫るために投げかけた問題のような気がしませんか。

食品だけでなく、国際的な人の移動も増えています。

わが国でも日本人海外渡航者数、外国からの入国者数ともに20年前の約4倍に増加しています。

すなわち、人間自身が媒体となって病原体を輸入する可能性も単純計算で4倍、このような増加に対し検疫官の目が届きにくくなる分があるとすれば、さらに高い倍率で侵入してくると考えておくべきでしょう。

好むと好まざるとにかかわらず、私たちは国際化社会の時代の中で生きていかなければなりません。

海外からの病原体の侵入に備えるという発想とともに、地球上の人たちが等しく健康な生活を送れるように、感染症の抑制に先進諸国が国際協力するという視点こそが求められています。

いずれにせよ生鮮野菜など生食するものについてはよく洗浄してください。

果物も皮をむく前に洗浄してください。

アメリカのメロンを介したサルモネラ事件は表面に付着していた菌が切り分けるときに果肉に付着して起きたと考えられています。

また、カット野菜を保存するときは必ず冷蔵しましょう。

野菜の切り口から出る汁は菌にとっても栄養成分として働きます。

アメリカのパセリによる赤痢事件では、ふりかけ用として刻んでおいたパセリを室温で保存したので赤痢菌が増殖したと考えられます。

わが国でも輸入感染症の集団発生がいずれは起こるものと考えるべきでしょう。

もちろん汚染品の流入を防ぐため検疫作業が実施されているのですが、抜き取り検査では100%保証は無理です。

0157集団食中毒事件の翌年、同じ堺市で起きた毒素原性大腸菌0169による食中毒では輸入食材のひとつが可能性の最も高いものとして疑われました。

また、97年は海外渡航歴のないコレラ患者が多数検出され、その原因食品として冷凍エビなどの輸入食品が疑われました。

輸入食品と一緒に入ってくる病原体があるのですか。

カロリーベース(供給熱量自給率)でわが国の食糧自給率をみた場合、1965年の73%から減り続け35年間で半分近くの40%まで落ちています。

不足分は輸入に頼らざるを得ないのですが、最近では生鮮野菜なども大量に輸入され、サラダなど生食されているものも増えているようです(2000年の統計では輸入野菜が占める割合はおよそ1割弱)。

日本ではまだ報告例は少ないのですが、アメリカではこれらの食品と一緒に病原体が輸入され集団感染を起こした事例がたくさん報告されています。

生鮮食材だけでなく、たとえ冷凍品や乾燥品として輸入されたとしてもすべての微生物が死んでいるわけではありませんし、食材そのものを生で食べないとしても台所や冷蔵庫の中で他の食品を二次汚染する可能性も考えなければなりません。