2015年5月アーカイブ

佐賀、福岡両県は、減農薬、無農薬による稲作りの盛んな場所だが、久富さんは「減農薬という場合、基準があいまいでゴマカシもありそう。無農薬はまず無理」ときっぱり言い切る。

「このあたりは、(ウンカなどの)飛来害虫が入ってくるところですから、殺虫剤を使わんことには、まともに出来んとです」

ごく最近では、86年に、九州一円から中国地方にかけての西日本に、ウンカの大発生があった。

この時は、「あちこちに坪枯れが見られたし、ひどい所では反枯れもあった。

大被害にならなかったのは、農薬のおかげです」

もちろん、久富さんは、「農薬を多投すべし」と言っているわけではない。

それは、品質に対するチェックが非常に厳しくなっているためだ。

りんごの品質を決めるうえで、食味が、まず大切なことはもちろんだが、玉の大きさや色の具合など、外観も品質検査の重要な要素となっている。

傷みや虫喰いは論外だが、皮の表面にわずかなシミがあるだけでも商品価値がなくなってしまうのだという。

「買ってもらえないものを、いくら作っても仕方がない。

高く売れるものにするために、農薬やら反射シートやらに、金をかけるんだ」

残留農薬検査
さて、今さんの話に戻ろう。

「昔も今も、りんご作りは虫や病気との闘いだ。

農薬抜きではやれねエな」約1.8haのりんご園の年間の防除回数は、10~11回。

農協の防除暦では13回になっていても、発生予察をうまく活用し、果樹園をよく観察していれば、散布回数は減らせることもある

「(散布は)手間もかかるし、金もかかる。

減らせるもんなら減らした方がいい」というわけだ。

それでも、以前と比べると、農薬の使用回数は増えている。