2014年10月アーカイブ

いずれも牛肉なら店舗で焼くだけ、ポテトも揚げるだけで食べられる「最終製品」の形で輸入している。

しかし最終製品より原材料の方が輸出入関税が安いケースが多く、九五年後半からは、最終製品よりも原材料の情報収集にシフトしている。

インターネットの普及も、外食産業の食材調達のグローバル化に一層、拍車をかける。

事業所給食大手のシダックスは、インターネット上に食材調達のホームページを開設、食品メーカーなど全世界を相手に取引先の募集を始めた。

九六年秋までにホームページを改良、調達したい食材の仕様を画面に表示するようにした。

完全調理品に近い食品を輸入、現在、一割に満たない輸入比率を2000年には五割にまで高める、という。

マクドナルドは事前に世界の産地の情報をキャッチ、仕入れ先を分散させる戦術も取り始めている。

九五年はメキシコから調達していたゴマの作況が悪化したため、グアテマラにシフトした。

情報の活用は自社で行う調達だけにとどまらない。

同社は、世界の食材情報の一部を日本の食品メーカーなどに提供し始めている。

「国内の取引先に国際競争力をもってもらうことも、当社にとって重要な戦略」(購買本部)との考えからだ。

例えば、国内のケチャップメーカーに「コロンビアやメキシコに安いトマトペーストがある」との情報を提供。

メーカーはペーストを低価格で仕入れ、日本マクドナルドにケチャップとして卸すという具合だ。

日本マクドナルドが輸入する食材は牛肉、ポテトなど。

「知床鶏」のブランド名は同社の知床事業所で、エサに知床産コンブの粉末を混ぜて育て、一方の「津軽鶏」のそれは青森の事業所で、青森産リンゴを乾燥させたものを与えたことに由来する。

中国、ブラジル、米国産の安いチキンの流入に、同社は高品質の国産食材の開発を余儀なくされた。

エサを変えて肉の臭みを減らしたり、飼育日数を普通のチキンより十日以上引き延ばし、肉質をキメ細かくして軟らかみを出すなど、工夫に工夫を重ねた。

ただ、高品質の鶏肉はできたものの、飼育コストがかかり、小売価格は通常のチキンの一・五倍以上に跳ね上がった。

スーパーなどの店頭では、価格面での制約が大きく、考えあぐねた末、売り込んだのがファミリーレストランだった。

「知床という言葉の響きが、消費者に大自然をイメージさせ、食べてみようかと思わせる」(デニーズジャパン)といった具合に、他チェーンとの違いを打ち出したいファミリーレストラン。

一方、メーカーにとってファミリーレストランは「商品相場に左右されず、一定の消費量が見込める魅力的な存在」(日本ホワイトファームの神崎憲幸事業本部長)。

両者の思惑が一致した。

日本ホワイトファームは今後、外食企業との取引を増やし、現在月間六五万羽と全体の二〇%程度のブランド鶏の生産比率を、四年後には五〇%に引き上げる考えだ。

市場成熟化で国内出荷量が減少するなか、後継者不足や設備の老朽化、原料大豆の高騰などが地場業者の経営を圧迫しているのだ。

「何も"敵に塩"を送らなくても」という周囲の反対を押し切り、佐々木会長はOEMを拡大してきた。

「地域の文化であるしょうゆののれんを守りたいというニーズは強い。

OEMは当社の中核事業になる」と見るからだ。

顧客はすでに四〇社を超えた。

同社がOEMに乗り出したのは九三年。

本社敷地内に延べ床面積二万九〇〇〇平方メートル、年間生産能力一〇万キロリットルという国内最大級のしょうゆ工場を完成した。

総工費は二四〇億円と通常のしょうゆ工場の数倍。

だが、最新設備を導入してコスト削減を徹底したからこそ、他社向けに低価格のしょうゆを大量生産できる体制が整ったのだ。

「当社の経営環境は厳しさを増すばかり。ぜひとも貴社からしょうゆの供給をお願いしたい」

ワダカン食品工業(青森県十和田市)には、連日、窮状を訴えるこんな要請が電話やファクスで舞い込む。

依頼主は全国の中小しょうゆ業者。

小売りで二、三割は安いしょうゆを同業他社に供給する、同社への"援助"申し込みである。

「同業者か否かは関係ない。

当社製品を買ってくれる方はすべてお客様」。

佐々木秀宜会長の方針は明快だ。

完成品のOEM(相手先ブランドによる生産)や熱処理・味付け前の半製品(生揚げ)販売を合わせると、同社のしょうゆ生産量の四割は他社向けが占める。

この背景には業界の厳しい現状がある。

しょうゆ業者は全国に約二一二〇〇。

大半が家族主体の零細業者だ。

その姿勢は生産設備を見るだけでわかる。

新潟の新発田、北海道、佐賀の三カ所にあるモチの生産ラインではすべて杵で突いている。

一九五八年の事業化当時から、機械で自動化してはいるものの、臼と杵は変わりない。

杵の突き具合や突く回数などはすべて伝統の製法通りだ。

包装米飯も一食二〇〇グラムごと小釜で炊飯するのは同社だけという。

「初めちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣いても蓋取るな」という炊飯の常道を、「いかに効率的な生産ラインで実現するかに絶えず知恵を絞っている」(上村栄一・東港工場長)。

そのことがコメを蒸す「新製法」を打ち出す加ト吉などに対し、「それで消費者がコメと認めるだろうか」(佐藤社長)という自信につながっている。

残留農薬検査

「うちはコメしかありませんから。ただ、これは本物なんです」。

食品卸大手、菱食の広田正社長に「米飯事業はどの会社も失敗したではないか」と心配された時、佐藤食品工業(新潟市)の佐藤功社長(当時)は一言こう答えたという。

時は九一年春。

この言葉を受けて広田社長は社内に号令し、「サトウのごはん」の取扱量を急拡大した。

それは無菌包装米飯市場の幕開けの瞬間でもあった。

包装米飯でシェア四〇%、包装切りモチも四〇%。

コメビジネスの巨人、佐藤が現在の地位を築き上げた原動力は、この「本物」へのこだわりに尽きる。

モチとコメという日本人にとってあるのが当たり前の食材を、徹底した利便性の追求で切りモチや包装米飯という新しい商材に生まれ変わらせてきた。

残留農薬検査