「知床鶏」のブランド名は同社の知床事業所で、エサに知床産コンブの粉末を混ぜて育て、一方の「津軽鶏」のそれは青森の事業所で、青森産リンゴを乾燥させたものを与えたことに由来する。
中国、ブラジル、米国産の安いチキンの流入に、同社は高品質の国産食材の開発を余儀なくされた。
エサを変えて肉の臭みを減らしたり、飼育日数を普通のチキンより十日以上引き延ばし、肉質をキメ細かくして軟らかみを出すなど、工夫に工夫を重ねた。
ただ、高品質の鶏肉はできたものの、飼育コストがかかり、小売価格は通常のチキンの一・五倍以上に跳ね上がった。
スーパーなどの店頭では、価格面での制約が大きく、考えあぐねた末、売り込んだのがファミリーレストランだった。
「知床という言葉の響きが、消費者に大自然をイメージさせ、食べてみようかと思わせる」(デニーズジャパン)といった具合に、他チェーンとの違いを打ち出したいファミリーレストラン。
一方、メーカーにとってファミリーレストランは「商品相場に左右されず、一定の消費量が見込める魅力的な存在」(日本ホワイトファームの神崎憲幸事業本部長)。
両者の思惑が一致した。
日本ホワイトファームは今後、外食企業との取引を増やし、現在月間六五万羽と全体の二〇%程度のブランド鶏の生産比率を、四年後には五〇%に引き上げる考えだ。
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