2013年11月アーカイブ

今日、社会的な問題になっているBSEに関しても、この飼料構造が原因究明を遅らせ、また責任の所在を不明瞭にしていることに注目しなければならない。

BSEの発症を契機に、現在、政府はトレーサビリティー(生産履歴)を明確にする施策を展開、それをあらゆる食品に適用しようとしているが、それは構造的なものを問うことなく、小手先の彌縫策を展開し、その施策を自らの利害に結びつけているだけだといわざるをえない。

少し話がそれたが、保税・承認工場制度がわが国残留農薬検査対応型の畜産の成長に果たした役割が非常に大きいことは間違いない。

残留農薬検査
さらに、正式には食品添加物として扱われてこなかった天然添加物の使用が、「既存添加物名簿」に登載されるという形で公的に追認された点も特徴です。

従来の化学合成された食品添加物の認可の場合と違って、安全審査なしで天然添加物が食品添加物と公認されたことは、食品安全行政のルールを大きくゆがめるものです。

WTO体制の最大の問題点は、国民の主権が侵されている点です。

WTO協定が国内法より優先され、食の安全に関する国民的な議論や合意が、国際的な舞台のなかで後回しになってしまう問題点があります。

ほかにも、基準・認証制度に関して31件、輸入プロセスに関わる制度で18件、合計42の法律が改定されました。

まず、検査体制が大幅に後退しました。

それまでは輸入食品を販売できるのは、検査を受けて「結果の通知を受けた後でなければならない」と決められていたのですが、「必要と認められる時(中略)検査を受けることを命ずることができる」と改定されました。

建て前といえど厳しい姿勢であった輸入食品の検査体制が放棄されたのです。

92年には、1カ月もかけない審議でイマザリルが食品添加物に指定されました。

製造年月日表示の廃止と賞味期限表示が導入されたのは、WTO発足の95年です。

それまで、食品に残留が許されていなかった、ホルモン剤や抗菌性物質など動物用医薬品の残留が容認されたのも95年です。

WTO発足に合わせて矢つぎ早に手が打たれたわけです。

WTO協定に合わせた国内整備の仕上げが、95年5月に28年ぶりに大改定された食品衛生法です。

91年にWTO協定の中間合意案がまとまると、政府は準備を始めました。

政府がまずはじめに手がけたことが残留農薬基準の設定です。

92年以降、残留基準が順次設定されました。

残留農薬基準は、国連のコーデックス委員会で決められた基準が、ほぼそのまま日本の基準に採用されました。

従来から設定されていた残留農薬基準や登録保留基準と比べるとずいぶんと甘い基準がありました。

とくに、ポストハーベスト農薬の公認は、安全の概念を根底から覆すものでした。

こうした理由で、有機栽培農家は市場に出荷することは少なく、生産した有機農産物は、特定の消費者または消費者グループと直結して販売することが多いのです。

しかし将来有機農業が普及し、有機農産物が大量に生産されて市場流通ベースに乗らざるを得なくなった段階では、市場の価格形成のうえで有機農産物が正当に評価されることが必要で、「安全で安心」に付加価値を見出すような価格形成が期待されます。

もちろん、流通資本によって意図的にゆがめられた「消費性向」を改める必要もあります。

また所得が保証されれば有機農業を志す農家はもっと増えるでしょう。

現在の青果物流通の仕組みのなかでは、大量流通を可能にするため品質が均一で病虫害のまったくない品物が求められ、また規格を定めて農家に厳しく選別を要求します。

こうした流通資本の戦略に慣らされて、消費者も完全無欠な野菜や果物を求める傾向が定着しています。

しかし有機農業では、病気や虫食いのため外観上の品質が落ちたり、品物が不ぞろいになることがしばしばあり、見かけが悪いために安く買いたたかれてしまうのです。

とんでもない量のホルモンが、不適切な時期に放出されたのと同じことが、細胞の中で起こってしまいます。

すると、ガン化のスイッチが入ったり、ガンが促進されたりします。

また、性の分化が妨げられたり、性行動に異常が起きたり正常な生殖作用が乱されることにもなります。

あるいは、環境ホルモンが、カギ穴をふさいでしまい、本物のホルモンがやってきてもカギ穴にはまらないことが起こります。

このように、必要な時期に、本物のホルモンの作用が邪魔されると、やはり性分化が妨げられたり、発育が遅れたりします。

環境ホルモンが体内に入ると、正常な内分泌系の働きが乱されます。

ホルモンの合成、貯蔵、分泌、体内輸送、受容体(レセプター)への結合などに異常を起こすわけです。

受容体への結合異常を、ホルモンをカギに、受容体をカギ穴に見立てて考えてみましょう。

環境ホルモンが細胞にやってくると、カギ穴である受容体は、本物のカギ(ホルモン)が来たと思って受け入れてしまう場合があります。

そうなると酵素活性が高められたり、遺伝子に作用してタンパク質が合成され、細胞の機能が働き出します。

環境ホルモンとはどんなものですか。

どうして健康に悪い影響をおよぼすのですか。

「環境ホルモン」とは通称で、「内分泌かく乱化学物質」が正式な名称です。

環境ホルモンというと、いかにも環境にやさしいホルモンのような印象を与えますが、決してそうではありません。

環境中に大量に存在し、あたかもホルモンのようにふるまったり、本来のホルモンの作用を妨げたりすることで内分泌系を乱し、私たちの体や野生生物に悪影響をおよぼす化学物質のことです。

アメリカ環境保護庁(EPA)の定義では「生体の恒常性、生殖、発生、あるいは行動に関する種々の生体内ホルモンの合成、貯蔵、分泌、体内輸送、結合、そしてそのホルモン作用そのもの、あるいはクリアランス(分解、消失)などの諸過程を阻害する性質を持つ外来性の物質」とされています。