2014年6月アーカイブ

(b)再保険、再再保険および保険の補助的サービス
(c)金融情報の提供と移転、金融データの処理及び助言等の補助的サービス
各参加国は、その居住者が他の参加国内で上記(a)および(b)の金融サービスならびに付則の5。

1(e)~(P)項に特定された金融サービスを購入することを許可すべきである。

(4)企業進出(commercialpresence)一子会社、支店、ジョイソト・ベソチャーなど各参加国は、他の参加国の金融サービス提供者に対して、既存企業の取得や企業進出などによって、自国内で定着または拡張する権利を与えるべきである。

上述の義務を回避するためではなく、協定上の他の義務に合致していれぽ、参加国は企業進出の定着や拡張を認可するに当たって条件と手続きを執行することができる。

(1)独占権一各参加国は、現存する独占権を金融サービス約束表に列挙し、それを廃止するか範囲を狭める努力をすべきである。

(2)公的機関が購入する金融サービス各参加国は、自国内の公的機関による金融サービスの購入または取得に関して、自国内に定着している他の参加国の金融サービス提供者に最恵国待遇および内国民待遇を与えることを確保すべきである。

(3)国境通過貿易(cross-bordertrade)各参加国は、非居住の金融サービス提供者が、主務者(principal)、仲介者を通した主務者または仲介者として、内国民待遇を与えられて、下記のサービスを提供することを許可すべきである。

(a)次のものに関係する損害保険
~海上船舶輸送、民間航空、衛星などの宇宙空間への発射と運賃。

輸送される貨物、輸送機器および付随責任の全部または一部をカバーする保険。

この付則は、通貨および為替レート政策に関する政府・中央銀行の活動を協定の対象外とする一方、対象となる保険および銀行活動(証券業務を含む)の範囲について詳細に規定している。

金融に関する譲許交渉はその範囲内で行なわれることとなった。

社会保障および年金などの公的退職計画に関する活動ならびに政府資金に依存する公的機関の他の活動も協定の対象外とされた。

ただし、公的機関以外のサービス提供者が公的機関と競合してサービスを提供することが許されている場合は、そのサービスは協定の対象とされる。

加盟国は、投資家や預金者などを保護する活動ならびに金融制度の健全性と安定性を確保する活動を自由に行なうことができるが、それを協定上の約束や義務の実施を避ける手段として使うことはできない。

先進国は、上述の付則規定よりも詳細に義務内容を定める案を提出した。

それは途上国の反対で付則には含まれなかったが、別途「了解事項」(Under-standing)として協定に加えられた。

先進国を中心とした了解事項への参加国は、それに基づいて約束を交換することになるが、その約束は最恵国待遇によってすべての加盟国に適用されなければならない。

了解事項の概要は次のとおりである。

現状維持(standstill)下記の約束に条件、制限および制約を付すことはルールに合致していない現存の措置にのみ限定される。

提訴国:米国。被提訴国:タイ。パネル報告採択:1990年11月

タイは、1966年制定のタ・ミコ法のもとで紙巻きタバコを含むタバコの輸出入を政府による許可のある場合を除き禁止していた。

また、消費税についても輸入紙巻きタ・ミコについては国内産の紙巻きタ・ミコよりも高い税率が適用されていた。

タイは同国の措置の正当化の根拠の一つとして、ガット第20条(b)項をあげ、人の健康を保護するために必要なものであると主張した。

これに対して米国は、タバコの輸入制限それ自体が人の健康を保護するために必要とは言いがたいとして同条項によっては正当化できないと反論した。

この事例を審議したパネルは、喫煙が人の健康に重大なリスクを生じさせ、かつタバコの消費を減らすための措置は、その意味で第20条(b)の範疇に入る性格そのものであることは認めた。

しかし、タイがとった措置が第20条(b)のもとで「必要な措置」と認められるためには、ガット・ルールに合致した他の措置、ないしはガットとの違反性がより少ない措置がまったく存在しないことが条件となるとした。


パネルは20条(9)項の但し書の部分、つまり「国内の生産または消費に対する制限と関連して実施される場合に限る」の箇所をより厳格に解釈するべきとし、国内の生産または消費に対する制限を「主たる目的とする」措置である場合に、有限天然資源の保存に役立つ措置として例外扱いを受けることができるとした。

しかしながらこのケースでは、未加工のサケ・ニシンを買うのを禁止されていたのは外国の加工業者だけで、カナダの国内加工業者は買うことを禁止されていなかった。

また、輸出制限の対象となっていない種類のサケ・ニシン類についても統計は十分に得られていたことから、カナダが実施している輸出制限措置は漁獲高の統計を入手しやすくすることを「主たる目的とした」有限資源保存のための措置であるとは認めがたいと判断した。

以上の理由からパネルは、カナダの措置は20条(9)項をもってしても例外とは認められないと結論づけた。

提訴国:米国。被提訴国:カナダ。パネル報告採択:1988年3月

この事例は、サケ・ニシンの加工がカナダ西岸の水産加工業において圧倒的に重要な地位を占めており、ブリティッシュ・コロンビア州の水産加工業従事者のうち実に6分の5がサケ・ニシンの加工に従事しているという背景のもとで発生した。

カナダは「サケ類強化プログラム」という政令のもとで一部のサケ・ニシソを未加工のまま輸出することを禁じていた。

これに対して米国はこのカナダの輸出禁止措置はガット第11条1項にいう数量制限の一般的禁止に違反するとして紛争処理に訴えた。

カナダは上記の措置が数量制限であることは認めた上で、例外規定で正当化しようと試みた。

カナダがその論拠の一つとしてあげたのが20条(9)項であった。

本件を審議したパネルは、スーパーファンド法の環境目的と歳入に関する規定との整合性いかんについては検討せず、環境問題については1971年に設置された「環境措置と国際貿易に関する作業グループ」が議論の場として適切と思われる旨コメントするにとどまった。

ただし、紛争当事国の間では以下のような議論があった。

化学物質を含む輸入品に対する課税調整について、米国は国境においてこのような課税調整をしなかったとしたら外国の生産者を有利な立場に置くことになるとした。

これに対してカナダやECは、1972年のOECDの勧告「環境政策の国際経済的側面に関するガイドライン」にふれながら、環境汚染のコストは汚染者負担主義がとられるべきであり、外国の生産者はすでに自国で環境保護のコストを負担しているはずであり、米国による国境における課税調整は外国の生産者に二重の負担を強いるものであると主張した。

この主張に対して米国は、OECDの勧告は本件には無関係とつっぽねた上で、スーパーファンド法は環境保護のための財源を確保するための法律であり、汚染者負担主義という考え方とは異なるとした。

さらに、環境汚染は生産過程においてのみ生ずるものではなく、その生産物の廃棄後も生じるが、危険な化学物質の輸出はその廃棄コストも輸出しているのであるから、国境における課税調整には合理性があると反論した。

いわゆるスーパーファンド・パネル。提訴国:カナダ、EC、メキシコ。被提訴国:米国。パネル報告採択:1987年6月

1986年、米国はスーパーファンド法を制定し、有害廃棄物の浄化と環境衛生の保全のための資金源として基金を設立することとした。

この法律は、その財源として特別の消費税や法人税を徴収することを定めていた。

この事例で問題となったのは、石油消費税の増税ならびに食物残存化学物質への課税にともない、そのような物質を使用した輸入品に対する課税を規定した箇所である。

パネルは石油消費税について1バーレル当たり国産品には82セント、輸入品には11セントと税額に格差を設けたことは内国課税について内国民待遇を定めたガット第3条2項に違反するとした。

他方、国内で課税される化学物質を含む輸入産品に対する国境税額調整としての課徴金は同条項に反するものではないと判断した。

ガット第21条は、安全保障のための例外として、武器、弾薬その他の軍需品の取引に関する措置ならびに核物質に関する措置を例外として認めている。

ガット第11条2(c)は、農漁産品の国内における生産または販売数量を政府が制限している場合、当該産品の輸入を制限することを認めている。

農漁産品に必要な国内における制限の効果が、輸入によって無効にされることを避けるためである。

ただし、自由化状況において輸入が国内生産に対して占める比率を維持しなけれぽならない。

この規定が農漁産品だけにガット原則に反した輸入制限を認める趣旨ではないことは、自由化状況における輸入比率の維持を求めていることから明らかである。

日本ではこの規定を利用してコメの輸入制限を維持しようとする動きがある。

しかし、その場合は大きな輸入を認めなけれぽならないので、ダンケル案が示すきわめて寛大な関税化を実施するほうが輸入を抑えられることは間違いない。

ガット第20条は、偽装した貿易制限ではないかぎり、公序良俗の保護に必要な措置などをガット原則からの例外として認めている。

たとえば、麻薬やポルノのようなものはこの規定に基づいて輸入を禁止できる。

また、人、動物または植物の生命または健康の保護のために必要な措置も例外として認められている。

たとxぽ、この規定のもとで病虫害に侵された動植物や有害食品の輸入を禁止することができる。

しかし、この規定の濫用も多く、ウルグアイ・ラウンド交渉では人と動植物衛生上の問題を処理する国際ルールが作成された。

輸入食糧はポスト・ハーベストの薬品が使用されていて体に悪いから輸入を自由化すべきではないと考える人が多い。

しかし、健康に悪い食糧と一般の輸入制度とは別問題であって、この両者を混同することはおかしい。

この両者には異なったガットのルールが適用されるからである。

近年、環境問題の重要性が増し、ガットもこの問題について貿易上の見地から研究中である。