本件を審議したパネルは、スーパーファンド法の環境目的と歳入に関する規定との整合性いかんについては検討せず、環境問題については1971年に設置された「環境措置と国際貿易に関する作業グループ」が議論の場として適切と思われる旨コメントするにとどまった。
ただし、紛争当事国の間では以下のような議論があった。
化学物質を含む輸入品に対する課税調整について、米国は国境においてこのような課税調整をしなかったとしたら外国の生産者を有利な立場に置くことになるとした。
これに対してカナダやECは、1972年のOECDの勧告「環境政策の国際経済的側面に関するガイドライン」にふれながら、環境汚染のコストは汚染者負担主義がとられるべきであり、外国の生産者はすでに自国で環境保護のコストを負担しているはずであり、米国による国境における課税調整は外国の生産者に二重の負担を強いるものであると主張した。
この主張に対して米国は、OECDの勧告は本件には無関係とつっぽねた上で、スーパーファンド法は環境保護のための財源を確保するための法律であり、汚染者負担主義という考え方とは異なるとした。
さらに、環境汚染は生産過程においてのみ生ずるものではなく、その生産物の廃棄後も生じるが、危険な化学物質の輸出はその廃棄コストも輸出しているのであるから、国境における課税調整には合理性があると反論した。
コメントする