2017年6月アーカイブ

農薬は、作物に残留することがある。

光にあたって分解して、全く残留しないものや、散布してから十日くらいは残留してしまうものなど、個々の化合物によってタイプは違う。

農薬の残留が問題になるのは、農作物を食べることで、たとえほんのわずかずつでも、人間の身体に入ってくるからだ。

その時には何も感じないとしても、長い間、農薬が残留した食品を食べ続ければ、10年後、20年後に健康がそこなわれることはないか。

あるいは、発ガンのキケンや、子孫への悪影響はないか。

これは、当然の心配だろう。

長期間にわたって、少しずつ摂り続けた時の悪影響-慢性毒性は、人類の将来にもかかわる問題である。

国際的にもWHOやFAOが「絶対に起こさない」という共通認識に立って、規制を行うことが確認されている。

具体的な法規制の内容は、各国の実情によって少しずつ違うが、関係者によれば、日本は先進国の中でも、最も厳しい基準が設定されているという。

まず、その制度から見ていこう。

作物に対する残留農薬の基準は二種類ある。

一つは、食品として流通する作物に残留することが許容される農薬の濃度で、「農薬残留基準」といい、これは、厚生省のナワバリ。

もう一つは、新しい農薬を登録する時に、その農薬の適用内容(対象作物、使用の時期、回数、量など)を設定するための数値で、「農薬登録保留基準」という。

これは、環境庁が農水省に対して示すことになっている。

「ややこしいな」と思うブログ読者が多いだろう。

その通り、ややこしいのだ。

「残留基準」は、「食品衛生法」に定められていて、市場の農作物を検査し、基準値を超えていた場合には、その作物の出荷を止めることになっている。

それから、「登録保留基準」は、「農薬取締法」に定められているの安全使用基準が決められるまで
だが、これは八百屋店頭の作物をチェックするのが目的ではない。

「この農薬は、○○PPm以上残留しないように使用基準を設定しなさい」

というものである。

残留農薬検査