残る7件は,保険や投資,特許権といった問題をめぐるケースで,米国にいわせれば,これらについては現行ガットが取り扱っていないのでガットに提訴しなかったということになる。
他国を最も果敢に攻めてきた米国は,他方では,ECにつづいて最もひんばんに他国からガット提訴を受けてきた国でもある。
1980年代だけをとってみても,米国が他国から提訴を受けたケースは29件にも及ぶ。
続いて多いのがECの22件,日本の13件,カナダの6件などである。
米国を最も攻撃してきたのは,ほかならぬECである。
しかも紛争は1980年代に集中している。
米国とECの間には,攻撃されたら撃ち返すという報復合戦(たとえば,いわゆるパスタ戦争など)が時折りみられるが,いくつかの数字は,ガット提訴についてもそのような関係にあることをうかがわせる。
なお,カナダも1980年代にかなりひんぽんに米国をガットに提訴した。
米加間の紛争の頻発が,両国をして1988年に米加自由貿易協定を締結させる大きな誘因となった。
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