とりわけECはガットの紛争処理メカニズムが裁判所のそれのようになることにはかねてより強く反対しており,あくまでも政治的な配慮の余地を残した紛争処理の枠組みにしておきたかった。
このような考え方の違いは,パネル報告の理事会における採択の方法や仲裁制度の導入の問題をめぐって表面化した。
パネル報告の採択がコンセンサスで行なわれる。米国やニュージーランド等は,パネル報告の採択を当事国が妨害できる従来の手続きでは紛争処理の実効性が担保されないとしてこれを見直すことを主張した。
なかでもオーストラリアは,理事会がパネル報告を採択する際には,紛争当事国ならびに当該紛争案件に関心を表明した関係国を除外すべきとの主張を行なっている。
このような考え方がいわゆる「コンセンサス・マイナス・21」と呼ばれるものである。
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