慢性毒性試験は、最後まで何が起こるかわからない

ここまで慢性毒性試験が順調に進んでいたところだが、ここで問題が起きた。

これは文字通り"とらぬ狸の皮算用"になってしまった。

本当に"まだわからない"ものだったのだ。

慢性毒性試験期間の104週間が終って、最後に、試験動物の解剖をしたところ、ラットの腎臓に病変がみられたのである。

濃度の高い試験群に病変が出てしまった。

安全性研究所主席研究員の方によれば、「これは、加齢しなければ出てこない因子なんです。78週目でも全く異常が見られない。寿命が終わりそうになって、推定では100週目あたりでははじめて発現しているわけですが、投与が影響してることは確かだったのです」という、関係者にとっては何とも泣くに泣けない結果である。

しかも、もう一つの実験動物マウスには全く異常がなく、ラットの方だけにあらわれたのだというから、さぞかしうらめしい気持ちになったことだろう。

とにかく、善後策を協議した。